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Contemporary Jazz
現在の Contemporary Jazz に影響を及ぼしているもので、筆者が特に 推薦するものです.
ここにあげたレコード/CDのアーティストの曲は、 このサイトで取り上げているような新しい音楽技法を理解するのに最適なもの ばかりで、キーボード奏者/アレンジャーのものが中心になっています.
(CD中の特定の1曲のためだけに入手したものも多数. Vincent Persichetti の「20世紀の和声法」に記載された手法を使っている曲を 探して、このページに掲載してあります)
レコードとしてリリースされていましたが、CDとして再版されているものも あります.
日本でリリースされていないものは輸入CD店などで探してください.
また、このサイトの Amazon Japan へのリンクにより購入可能です.
音楽的に厳密な意味でのContemporary Jazzの作品はそれほどたくさんは リリースされていませんし、Smooth Jazzに比べて売り上げそのものが 期待できない場合が多く、このページへの新譜情報は、多くはありません. ご了承ください.

(更新情報:2007/01/20 Now (Kyle Eastwood) 追加)
(更新情報:2006/04/15 Paris Blue (Kyle Eastwood) 追加)
(更新情報:2005/06/11 Pyramid in Your Backyard (Praful) 追加)
(更新情報:2005/04/30 SheetMusicPlus:BillEvansFakeBook追加)
(更新情報:2004/10/05 One Day Deep (Praful) 追加)


(ジャケットイメージ | アルバム名 (アーティスト名) )

最近の作品

Paris Blue (Kyle Eastwood)

2005年9月、 Rendezvous Entertainmentよりリリース.

Kyle Eastwood は Clint Eastwood の息子です. Clint Eastwood は、Charlie Parker を描いた Birdなどの映画も手がけるくらいジャズ好きでしたが、 父親の影響か(?)息子の Kyle Eastwood も映画俳優であり ジャズベーシストとしてこのCDをリリースしています.

このサイトをご覧いただいている方々はご存じと思いますが、 ジャズハープのLori Andrews が、この映画 Bird に出演していて、 Lori のアルバム No Strings Attached のレコーディング時にスタジオへ Clint Eastwood が遊びに来ていました.

このCD Paris Blue でも、父親の Clint Eastwood が一曲めの "Big Noise" で「口笛」で参加しています.(Lori のCD録音の時も、Clint Eastwood が 「ちょっかいを出しに」来ていましたが、息子のCD録音の時も同じことをしてます.)

リリースレーベルの Rendezvous Entertainment は、このページにある Praful などもリリース していて、Chris Botti が DJ をしているラジオ番組 Chill With Chris Botti で、同番組の音楽フォーマットレーベルとしても紹介されています.

このCDは、Smooth Jazz というより Praful の作品同様、ミニマルや60年代ごろの モダンジャズ/モードジャズのリズムパターンリメイクなどをやっているので、このページに 紹介してあります.

1.Big Noise
Funkのリズムで始まるので初めはダンス音楽かと思わせるが、途中から、Charlie Parker のビバップのフレージング(Alterd scaleなどの)にスライドしている.
2.Marrakech
イントロはNew Age環境音楽風、軸音Bルートでドリアンモード、エオリアモードなどの 旋法交換など
3.Muse
このCDで唯一 Smooth Jazz 系の曲.Cm7/B - Bbm7/Ab のバックにドリアンモードの テーマから、ミュートトランペットと Rhodes 、ベースのソロが続く.
4.Pont Royal
ベースソロのイントロから、バンドのリズムが入る.John Coltrane の "Giant Steps" "My Favorite Things" (など)以降のモードジャズのスタイルの曲.
5.Solferino
ピアノの印象派風ソロのテーマの曲.
6.Cosmo
ファンキーリズムとブルースフレーズのダンス系の曲
7.Paris Blue
5.同様、ピアノの印象派風テーマの曲.
8.Big Noise [Remix]
1.のリミックス版.途中からミニマルミュージックへ
9.Marrakech [Remixi]
2.のミニマルミュージック版.Praful の音楽と聴き比べてみると良い.

Kyle Eastwood site

Clint Eastwood site

Now (Kyle Eastwood)

2006年10月、 Rendezvous Entertainmentよりリリース.

前作の Paris Blue に比べてボーカル入りの曲もあり、かなり Smooth Jazz 寄りの アルバムに仕上がっています. 逆に、前作にはあった BeBopの手法の曲はこのアルバムには見あたりません. 歌入りということで、前作よりは一般のポヒュラー音楽ファンにも聴いていただける と思います. アルバム全体を通して、前半は明るいSmooth Jazz / Vocal の曲が多く、後半の曲 に行くにしたがって、Paris Blue でやっている、ミニマルミュージックの手法の曲 に移行していきます.
Paris Blue と比べても、Kyle Eastwood は funk のリズムが好きなのでは、と思いたく なるほどいろいろな曲でこのリズムを使っています.

1. Now
Eのドリアンモードの曲.
アルバムの最初に、急速調で少し緊張感のあるドリアンモードの曲を配置し、 「お、ジャズだ..」と、リスナーに思わせる手法は、 Gregg Karukas の Blue Touch のアルバムのイントロに似ています.
2. I Can't Remember
3. Leave It
6. Let's Play
Ben Cullum のSmooth Jazz Vocal曲.
4. September Nights
リズムパターンがアンビエントの曲.この曲あたりからミニマルの手法へ移行.
少しミステリアスなストリングスのバックに、アコースティックピアノの モードによるソロ.
5.Every Little Thing She Does Is Magic
Michael Stevens のボーカルイントロから、空気のようなボーカルをバックに 急速調の funk のリズムと Rhodes のモードによるソロの.
7. Nasty Girl
ブルーススケールによるミステリアスなハーモニーのバックと、 ワウをかけたRhodes のソロの曲.
8. Eastern Promise
ラップのシンベースのイントロから、フリースタイル無調音楽風のソロが展開する、 ミステリアスな雰囲気の曲.Bbフリジアンスケールが基調.
9. Song For Ruth
アコースティックピアノのノンテンポ(ルバート)ソロのイントロから、 リズムとストリングスが入る.Eフリジアン基調.
10. How Y'all Doin
最後は、ファンキーなブルース.トランペットとサックスのソロに、 Kyle  の「声」入りの曲.(父親譲りの渋い声)

(参考:Kyle Eastwood は、Clint Eastwood 監督の 「父親たちの星条旗」 「硫黄島からの手紙」 のサウンドトラックに参加しています)

One Day Deep (Praful)

2003年7月、N-Coded Music よりリリース.
Praful (プラフール:フランス語読みでアクセントは後ろの「フール」) は、オランダのグループで、バンドリーダの Praful がそのままバンドの名前となっています. この One Day Deep は、いわゆる「ミニマルミュージック」の手法で構成されたもので、 「見た目」は、ダンス音楽か耳あたりの良い Smooth Jazz のように聞こえますが、 シンセサイザで作り出したリズムループに、いろいろな音楽の「断片」(セル)を 配置していく、現代音楽の手法が取られています.結果的に音楽がとても映像的に 聞こえ、これらの手法は映画やアニメなどの音楽にも有効に使用されています.

最近のSmooth Jazz のヒットメーカの中で、このような手法を取り入れている アーティストはほとんど見かけなくなってしまいましたが、1960年代から 70年代ごろ、現代音楽やフリージャズが日本でも流行っていたころ、 これらの手法を取り入れていた音楽家も少なくはありません. ごく初期の Bob Jamesの一部の曲や Lalo Shifrin の映画音楽などにも見られ、 日本のミュージシャンでは、菊地雅章さんが1981年にリリースした、 Susuto に収録された、1.Circle/Line なども同様な手法で作られています. (One Day Deep の 7.Underworld, 9.Sinus Funktion などと、Susto と聞き比べてみるとよくわかります)

この One Day Deep に収録されたような音楽は、素人耳には いわゆるDTMのような方法で簡単に作れてしまうように見えます.しかしながら、 現代音楽のいろいろな手法をきちんと習得していない人がコピーして 物まねをしようとしてもだめで、 ミニマルミュージックは、リズムループで作り出される時間の流れに、 いろいろな音楽のセルを配置していく過程で、その個々のセルの どれかは、それぞれ聴く人にとって、「どこかで聴いたことがあるような...」 という想像をさせる部分があり、人によって、「単なるダンス音楽」とも取れたり、 「ミステリアス」に聞こえたりもする「多次元音楽」として機能しているためです.

この One Day Deep が、1960年70年当時の 「フリージャズ/現代音楽としてのミニマルミュージシック」と異なるのは、 現代音楽的要素で構成されていながら、結果としての音楽(音)は、耳ざわり の良い心地よい Smooth Jazz /ダンス音楽 に仕上がっていて、 日常的に繰り返し聴いて楽しめる音楽として商業的にも成功している作品に なっていることです.

この作品は、プロの映画/アニメ/ゲーム音楽関係者も必聴です.

Praful site

参考: Praful ライブレポート

Pyramid in Your Backyard (Praful)

2005年5月31日、Encoded Music よりリリース.
前作の "One Day Deep" 同様、「ミニマルミュージック」の手法で構成されていますが、 今回の作品は、前作よりもメロディーラインなどがはっきりわかる曲が多くなっています.
(詳しくは、"One Day Deep"の文面参照)

1.Moon Glide - F#の合成マイナー(ナチュラルマイナー/ハーモニックマイナ−/ブルーススケール等の合成)の曲、 ダンス音楽系リズム
2.Says Kabir - Bが軸音のドリアンモードのアンビエントリズムの曲、丸い音のRhodesの音の上に、 民謡風の こぶしの効いた歌の断片や尺八風のフルートをセル化して配置.
3.Acredite - 最近のラテン系スムースジャズなどに使われているリズムパターンの曲
4.April Seven - Aの音を軸音にしたフリジアンモードと、AのハーモニックマイナーP5を多用 した曲.(チックコリアのLa Fiestaとスケール的に同じなので、スペイン風に聞こえる)
5.Eternity - 全音階進行を使ったボサノバ風リズムの明るい曲
6.Hand-Cart Puller - Dの軸音のドリアンモードのアップテンポなアンビエントリズムの曲
7.Naked - Eが軸音のナチュラルマイナーとドリアンモードの曲で、歌のパートが ナチュラルマイナー、サックスのソロがドリアンモードで、途中、Dのドリアンモードを挿入して 緊張感(Eから見たサブドミナント軸)を出している、ミステリアスな雰囲気の曲.
8.Azul と 9.Drop To The Ocean は、連続した曲のようで - Abを軸音とペダルトーンにしたミクソリディア風の曲で、転調一切無しで、 いろいろなセル(音列)を次々に出している曲. 途中(Drop To The Ocean)からサックスのソロ.

10.Wishful Walk - Moon Glide と同じく、C#(合成)マイナーの曲. サックスソロとボーカルとのユニゾンなど.
11.Ponto De Partida - 8.Azul と同じ手法で、Abペダルトーンに民謡風の歌とフルートを配置.
12.We Live On - リラックスした最後の曲らしく、NewAge系のエコーの効いたピアノのイントロの静かな曲.

以上、メロディーラインがわかりやすくなった作品とはいえ、音列指向のミニマルミュージック の作品なので、あえて Smooth Jazzのページには掲載しませんでした.
彼らのような音作りを参考にすれば、日本の伝統音楽(お琴や三味線、尺八など)の 音もこのようなミニマルミュージック化して、最近のダンス音楽に見えるように仕上げる こともできます.
(参考:Vicent Persichetti の「20世紀の和声法」の最後の章に、似たようなことが書かれています)


Pulling Strings (Lori Andrews)

2002年、JazHarp Recordよりリリース.Lori Andrews は、ロサンゼルス 在住のジャズハープ奏者です.この作品は、ハープという楽器の従来からのイメージ を変えてしまうような、斬新なコンテンポラリージャズになっています.彼女の前作 は、スイングジャズやポピュラーソングのCDもリリースしてきましたが、 このPulling Stringsは、ベーシストの Bart Samolisなどの協力も得て、 Lori Andrewsの Salvi Electric Harp と、Bart Samolis の 6-strings James Tyler Bassの コラボレーションです.イントロに続く、2.Urban Legend , 3.Parthenia と、アップテンポなリズムに乗ったモードジャズが展開します. このページの下にも紹介していますが、70年代から80年代のChick Corea のFriends などの演奏/編曲スタイルから、ピアノがハープに入れ替わった ようなサウンドです. 90年代から最近まで、このようなレベルの高いコンテンポラリージャズの 新作はほとんど見かけませんでしたが、このPulling Strings は、 再び、質の高いコンテンポラリージャズがジャズの人気チャートの上位に入る 時代に入りつつある予感がします.

Electric Harp を使っている理由は、おそらくハープという楽器でも、 コンテンポラリージャズで多用する、複雑な音程やハーモニーを速く演奏しても、 ベースなどの楽器と音量的にバランスできるようにするためでしょう. 実際のサウンドは、限りなく透明でリズムがタイトで、ハーモニーもバランス しているすばらしいものでした.

1940年代後半から1950年代後半のもの、
Cool & Quiet (Lennie Tristano)

第二次世界大戦後、ヨーロッパから多くの有能な音楽家 だちがアメリカへ亡命し、音楽の歴史の舞台がアメリカ中心 となった. 歴史的なレニー・トリスターノ・セクステットの演奏
Cool Jazz は、おそらく現在の Contemporary Jazz へ至る「根っこ」 の部分と思われる.

Lennie Tristano (Lennie Tristano)

1955年、レニー・トリスターノの自宅スタジオによる録音
当時はまだマルチトラックレコーダが無い時代で、本人自身による テープレコーダの倍速/半速により、多重録音されて作成されている.
おそらく、これが現在の「打ち込みジャズ」の原形と思われる.
レニー・トリスターノはイタリア移民の親を持ち、9歳で全盲になり、 2年間かかる和声学をわずか1ケ月半で終えてしまうという、 驚異的な才能の持ち主であった.

The New Tristano (Lennie Tristano)

前作に続く、自宅スタジオでの多重録音版

Kind of Blue (Miles Davis)

1959年録音.一般にジャズでモード手法が初めに使われだした作品 として有名.いくつかの資料(後述)によると、ビル・エバンスが Mannes School of Music で音楽を学んでいるとき、印象派 の音楽にたいへん傾倒していたことが述べられています. (TRO Ludlow Music: Bill Evans Fake Book参照)ビル・エバンス がマイルスのグループに参加しエバンスがモード手法(いわゆる 印象派技法)を教え、その後広まっていったようです.

Sheet Music Plus: Bill Evans Fake Book

Maiden Voyage (Herbie Hancock)

1965年録音.Blue Note よりリリース. マイルスの Kind of Blue 以降、60年代 ジャズでモード手法が普及しだし、 Herbie Hancock 自身もその分野を手がけたアルバム. Maiden Voyage (処女航海)は、たいへん有名な曲になり、 他の多くのジャズメンにも取り上げられています. この曲は、So What などのような初期のモードの曲の作りより 少し発展させた方法が使われています. 終始、Dsus4 - Fsus4 (Am7/D - Cm7/F と同じ)の繰り返しで アドリブソロでの音の取り方、モードのスケールの展開の仕方が 自由になります.ベースの音が D と F の短3度は、 バルトークの中心軸システムで、それぞれ近親調のドミナント として機能しているので、この2つの組み合わせだけで、ソロに 12音すべてが使えるようになります.このように、ドミナント の sus4 のまま延々続け、旋法を変化させていくことで 印象派的色彩感が出せます.(ジャズの場合ソロを取る人の技量による..)

Time Out (Dave Brubeck Quartet)

上の Kind of Blue と並んで、50年代最後から普及しはじめた、 モード手法の典型.Dave Brubeck は2001年現在、子供と孫まで3世代 ともジャズミュージシャンとなり、主に西海岸で活躍している. 当時、ダリウス・ミヨーに教えを受け、新しい音楽のスタイルを 普及させていった.Take Five は、Paul Desmond の曲で5拍子 のモードジャズである.現在聴くと、シンプルに聞こえるが、 当時は斬新なサウンドとして注目を集めた. コード進行をあらかじめ割り付けない旋法の音楽であるため、 3拍子、4拍子など拍節が定まらないため、5拍子のような 変拍子が自由に使える. バートバカラックも、ダリウス・ミヨーに教えを受けた人で あるが、60年代、彼はポップスの世界にまで、いくつかの モードジャズの手法を持ち込んで曲を提供した人であり、 Dave Brubeckと比較してみると良い.
(Dave Brubeck は、Smooth Jazzなどの音楽様式の基礎を 作ってきた人なので、Smooth Jazzのラジオ局などでもよく 紹介されている)

1960年代から1970年代のもの、
Bill Evans Trio with Symphony Orchestra (Bill Evans)

1964年、クリード・テーラー、プロデュースによる、 クラウス・オガーマンのストリングスアレンジとビルエバンス の初めてのレコーディングです.
Mannes School of Music で音楽を学んでいるとき、印象派 の音楽にたいへん傾倒していたことが

Sheet Music Plus: Bill Evans Fake Book
に、Bill Evans に実際に作編曲を教えた先生により、詳しく述べられています.
(このアルバムの一連の曲とこの楽譜により、よく理解できます)

Alone (Bill Evans)

1968年、ニューヨーク録音のピアノソロ
1950年代後半、Bill Evans 初期の (Reverside 時代)のものは、 モードジャズへ入る手前のもので、古い手法しか使っていないが、 1960年代、モードジャズが主流となり Verve 時代のものは、 新しい手法をジャズへとビルエバンスが使い始めている. Lydian Chromatic Concept を活かし始めたのもこの当時から. ピアノのペダルとサスティーンを思いっきり使った、 まるでドビッシーのピアノ曲を彷彿とさせる美しいピアノソロ である.

Montreux II (Bill Evans)

1970年、スイスのモントルージャズフェスティバルでの ライブ録音、クリードテーラーのCTIからの単発発売のもの.
エバンスが子供のころ作曲したお気に入りの曲 (Very Early) やバートバカラックの (Alfie) を大変美しく演奏している. モントルーフェスティバルのビルエバンスの録音は、 "Someday my prince will come" の入った1968年のものが有名 であるが、こちらの方が音楽的に新しい手法へ進んでいて、 エバンスのソロの部分は、Lydian Chromatic の手法を使い フルスペクトラムの、フリーでありながら大変美しい ハーモニーとメロディーが楽しめる.

The Bill Evans Album (Bill Evans)

1971年、CBS移籍初アルバム.CBSに移ってから、 Rhodes Electric Piano も弾くようになった. (当時、CBS楽器部門が、RHODES, FENDER, などベンチャー楽器企業 の製品を扱っていた.そのため、"Fender Rhodes"という 名前が定着してしまったが、正式名は Harold Rhodes の名前から取られた Rhodes のみで、Rhodes Electric Piano が正しい呼び方) 音楽的には Verve 時代のものをそのまま引き継いでいて、 さらに、Twelve Tone Tune など、本格的な12音技法 も使いはじめた.しかし本人が述べているように、 シェーンベルクの方式ではなく、Lydian Chromatic の方式なので、調性感は損なわれず12音音楽なのに美しい 響きが楽しめる.

Symbiosys (Bill Evans)

ドイツのMPSより単発リリースされた、 クラウス・オガーマンのストリングスアレンジとビルエバンス の2度目のレコーディングです.
1970年代に入り、クラウスオガーマンは 現代音楽の作品 "Serious composition" の作成に時間を費やす ようになり、その作品としてリリースされたようです. Symbiosys はオーケストラとエバンスのアドリブソロの共生 を意味しています. クラウスオガーマンはモダニストではないですが、 現代音楽の技法がこれほど聞きやすく作曲されている ものはあまり他にないと思われます.

Inner Space (Chick Corea)

1966年から1968年にかけて録音.チックコリア最も初期のころ のもので、ビルエバンスの影響を受けている曲、 Tones for Jone's bones, Windows, などが含まれている.
Windows は2000年現在でもチックのお気に入りの曲らしく 現在でもよく取り上げている.この曲は典型的な「ビルエバンス終止」 (全音階下降型で、Lydian tonic へ解決して終わるもの) の曲です.チックの印象派技法満載.

Now He Sings Now He Sobs (Chick Corea)

1969年リリース、 チックが、唐時代の高僧、義浄の The Book of Changes という 英語の仏教哲学の本に影響されて作曲された曲など. 録音当時、スタインウェイのピアノをピアノ選びから行い、 気に入った音のピアノで一発録音された.オリエンタル風響き のモードジャズ.

Piano Improvisation Vol.2 (Chick Corea)

1971年、ECM録音.ピアノの現代音楽の手法と多重録音を使い、 ピアノという楽器だけで、地球からの出発、新天地への到着、 風景、インプス・ウォーク、休息..など、一連のストーリー を表現している. 劇伴などに興味ある人には、たいへんお勧め.

Friends (Chick Corea)

1978年リリース、1972年以降の Return To Forever の活動 から、RTF以前当時の音に戻った作品.
チックが初期のころ傾倒していたビルエバンスのスタイルの Waltse for Dave、 Now He Sings..のころのモート4度フレーズのゴリゴリ アドリブソロの、12音何でもマイナースケールのSicily, スムースジャズと言っても良いような爽やかな Friends .
ジャズの本当に新しい技法で楽しい音、満載のアルバムです.

Secret Agent (Chick Corea)

1978年 Polydorよりリリース.全作のFriendsに比べ、 エレクトリックサウンドばかりで、多様なリズムが使われています.
このころ、チック・コリアはバルトークに傾倒していて、 Bagatelle #4, などが含まれています. このレコードで注目できるのは、 "Fickle Funk"と、"Slinky"です.60年代後半からのモードジャズ が一方で、「フリー」のスタイルの方向へ行ってしまいましたが、 バルトークの「拡張された12音システム」をうまく使い、 ドミナントコードで、Sus4 のまま旋法交換していく、ソロの方法 が広まっていきました.4度フレーズ、Conbination Diminish 短3度の近親調への旋法交換などが頻繁に出てきます. 下に出ている、佐藤允彦さんの MSB-1 MSB-2 などと同じ アプローチの方法です.

Duet (Chick Corea / Gary Burton)

1979年、ECM よりリリースの有名な、Chick Corea と Gary Burton のDuo. 70年代後半から80年代初頭、チックはバルトークに強く 傾倒していたことがよくわかります. 私は、La Fiesta でも 1972年 RTF のものよりこちらの方が好き ですね.

Tap Step (Chick Corea)

1980年、Warner よりリリース.このレコードでコンテンポラリージャズ のスタイルの曲は、Tap Step という曲です.これはアルバン・ベルク が使っていた、下降型ベースラインに12音の無調フレーズを適応 させていくという方法に、チックコリアは、うまくバルトークの 手法で調性を残したまま、アドリブソロで12音すべて使える 工夫をしている.この曲の調中心は、Gmの短調ですが、 G - F - E - Eb - D の下降ベースラインで、
Gm(9) -> Bbm(9)/F -> B(#5)/E -> Bbm7(9)/Eb - D7 を当てはめ、 の短3度の並行調のトニックにベースの音 F から、順次 Gmのドミナントの D7 へ半音進行していく、短いコード進行 (実際これは、オスティナートとして、常にGmへ傾斜 を持ったままの D7 として調中心を固定する作用がある) の上で、ミステリアスな雰囲気のある12音すべてを駆使した ソロが展開していきます.この手法は、短調の曲でアドリブソロ を長時間展開するときの有効な手段になります.

(参考1:1970年ごろ、ロックグループのシカゴの曲で、 「長い夜」という曲がありましたが、この曲も同じ手法で できていました.シカゴの方はドリアンモード1つだけでしたが..)
(参考2:Samba L.A. という曲では、コーラスで、お馴染みの Flora Purim, Gayle Moran などに加え、Shelby Flint という ベテランのソプラノ歌手が加わっています. Shelby Flint という人は、スタジオでのとても長いキャリア のある人ですが、オリジナルのCDをほとんど出していません. 最近、Gregg Karukasプロデュースのインディーズ版で Shelby Flint のCDをリリースしています.入手しましたら このサイトの、ボーカルのページでご紹介します)

Again and Again (Chick Corea)

1983年、ELEKTRA/Warner よりリリース.1982年、南アフリカ共和国 のRadio South Africa のスタジオ録音.Chick Coreaがハワイと オーストラリアのツアー中に立ち寄り、僅か1日で録音された. Steve Kujala が(Fl, TS, SS) のソロ、Chick Corea は、Rhodes と OB/X Moogなどのソロを展開している. 2曲目の Waltze は、Chick Coreaが少し前に作曲した曲、 3曲めの Again and Again は、当日に即興で作った曲で、 Chick Corea 得意の、3拍子と4拍子を合成したリズム に、Lydian Mode の12音すべて駆使したアドリブソロ が展開.この2曲は、"Soft melodic piece" とChick Coreaが ここで言っているが、当時 Smooth Jazzなどと言う言葉はなく、 今のSmooth 系の Lydian modeのフリ−の即興演奏と同じ スタイルである.Lydian Chromatic Concept をフリーフォームで 使いこなすための良いサンプルである. この2曲以外は、エレクトリックの現代音楽を駆使したもの.

(私(サイト管理者)は、Chick Coreaを当時長く参考にして きたが、このレコード以降、Chick Coreaからコンテンポラリー な音使いがだんだんなくなっていった.それで、私が考える Chick Coreaサウンドは、70年代からこのLPに至る 範囲のもので、それ以降、ほとんどCDなど持っていない. 1985年以降から10年間ほどのバブル期は、コンテンポラリー ジャズにとっても「失われた10年である」)

1970年代後半から1980年代前半のもの、
One of a kind (Dave Grusin)

Dave Grusin が1960年代後半から、A&Mレーベルの セルジオメンデスとブラジル66のストリングスアレンジ を担当していた.ご存知の方も少ないと思います. 1977年リリースの、事実上 Dave Grusin 初アルバムです.
ここには、当時の Grusin の作曲/編曲手法が網羅されています. はじめの曲の Montage 以外は SmoothJazz へ入れても良いでしょう.
Montage は、D の音をセンタートーンとして、12音すべて利用した もので、Mini Moog のソロの部分はたいへん緊迫感があります. 4度フレーズ、Combination Diminish scale など、(当時よく流行りましたが) 緊迫感のある無機的な音楽で、ストリングスを使った静的緊張感のパート と、Mini Moog のソロの躍動的な動的緊張感の対比が、スリル があって面白いです.テレビなど、SFかサスペンス物の劇伴 のようです.
モード手法が主流となり、コード進行がある音楽に存在する ハーモニックリズムというものが、この手法ではありません. そのためリズムが和声から独立した時間(タイム)として存在 しています.これを自在にこなす、スティーブ・ガッド に人気が集中しました.しかし、そんなスキルのあるリズムセクション はなかなかありません.それがやがて来る「打ち込み」ジャズ へと受け継がれていきます. 現在、このような音楽を作るには、ほとんどコンピュータ相手ですね. でも、ジャズの場合、ソロの部分だけは「打ち込み」ではなく 人間が演奏しますが...

Look Around (Sergio Mendes & Brasil '66)

時代が前後しますが、Dave Grusin が1960年代後半から、 セルジオメンデスとブラジル66のストリングスアレンジ を担当していたものとしてここに挙げます.
1968年リリースのもので、 So Many Stars, Like a Lover , バートバカラックの Look Of Love, などをフィーチャー しています.これらの曲は現在でもスタンダードとして 現在でも多くのミュージシャンに取り上げられています.

Fool on the Hill (Sergio Mendes & Brasil '66)

1960年代後半から、ビートルズナンバーにもモード手法 の曲が多くなってきました. それらの曲が取り上げられています.
Dave Grusin のストリングスアレンジは Claus Ogermann と同様、印象派以降の色彩感あふれる完全な音色志向の ものです.超高音域のストリングス倍音、ダリウスミヨー風 の多調フレーズなどが出てきます.(古典派の弦の編曲 は旋律の変形、対旋律、カノンなど、そういった旋律 変形しか出てきません)Dave Grusinを印象派の アレンジャーと呼ぶにふさわしいものです.

Crystal Illusions (Sergio Mendes & Brasil '66)

フリースタイルのオーケストラ編曲の大作です. ドリアンモードからスタートしながら、音列により 神秘的な空間を作りだし、徐々にスケールが大きくなっていきます. 当時は、ポップスとして作られたレコードでもここまでの編曲が できた時代でもあったのですね.

Burt Bacharach (Burt Bacharach)

バート・バカラックは、2001年、有名な「ポーラ音楽賞」を受賞 するようです.60年代70年代アメリカのポップスをリードして きた人ですが、最近の音楽ファンの方は、ご存じない方もおられる ようです.このレコードは1970年当時、Close to Youなどが 作曲された当時のものです.最もバカラックらしい作編曲のもので、 Wives and Loversは、ジャズの組曲として編曲され、テーマは3拍子 なのですが、ソロの部分は5拍子で、ジャズバイオリンのソロ がフィーチャされています.なお、このレコードはCDとして 再販されています.
バート・バカラックは、正式の音楽教育を「いやいや」受けていた のですがジャズに開眼し、その後、Dave Bluebeck同様サンタバーバラの 音楽学校でダリウス・ミヨーに新しい技法を習っています. そのため、新しい音を駆使したユニークなバカラックサウンドと メロディーラインになっています.コンテンポラリー音楽としてここで 扱うに十分な音作りとなっています. バカラックの曲は多くのジャズメンによって演奏されています. 以前はビル・エバンスなどでしたが、96年にマッコイ・タイナー がバカラック集を出しています.また、スムース・ジャズに編曲しなおし、 ピーター・ホワイト(Gt)、マリリン・スコット(Vo)、ボビー・コールドウェル(Vo) など、今でも盛んに演奏されています.

Hows Everything (Sadao Watanabe)

1980年、米COLUMBIAよりリリース. 渡辺貞夫さんの武道館コンサートのライブ版です. 当時、渡辺貞夫さんをアメリカへ紹介しようという動きがあり、 それを成功させたアルバムでもあります.
Dave Grusin のアレンジものということで、ここへ上げて あります. いろいろな曲が入っていますが、中でも「M&Mスタジオ」という 曲は、Dave Grusin の得意とするダリウス・ミヨー風 多調ストリングスアレンジが美しいです.貞夫さんはじめ、 他のメンバのアドリブソロが、フルスペクトラムで繰り広げられます.
So What と同じで、D のドリアン、Eb のドリアンが交互に繰り返されますが、 むやみに4度和声を使わず、FM7/G - GbM7/Ab の繰り返しで、 Lydian Mode に基づく色彩感あふれるソロです.

Thunderbirds (Barry Gray)

Thunderbirds に使われている Barry Gray の音楽を集めたCDです. ここにこの作品を紹介する理由は、Thunderbirds が初めて制作され、 テレビ放映された1965年当時、映画やテレビ番組がSFブーム で、当時の「スパイ大作戦」や「宇宙家族ロビンソン」などを含め、 映画音楽として現代音楽が盛んに使われていて、 このサイトで紹介している
Vincent Persichetti
「20世紀の和声法」( 20th Century Harmony )
(詳しくは「音楽の構造的部分について」を参照) などに書かれている音楽技法が、それらの映画やテレビ番組を引き立たせていた ためです.

このサイトの筆者はThunderbirdsの大ファンで、日本のNHKで1965年 から始まった初回からずっと見ていました.
Thunderbirds をSF作品として面白くしていた重要な理由として、 このBarry Gray の曲による音楽が各場面で使われていたことが上げられます.
現代音楽が当時以降、一部の音楽家たちによって音楽そのものの持つ 利用目的から外れた方向へ導かれ、70年代の「Star Treak 」以降 から、映画やテレビの音楽にあまり利用されなくなりました. その結果、80年代以降のハリウッド映画やアニメやゲーム音楽など いわゆる現代音楽としてのコンテンポラリーミュージックの技法をきちんと 習得していないような音楽家たちがNewAge など (モダン(現代音楽)もやったことがないのに、ポストモダンなどと称して..) と称して、古い様式の音楽に逆戻りしたり、クラシック音楽やポップス などをそのまま無造作に映画音楽に利用したりしたため、 映画の魅力が半減しているものが多くなっています.

この Barry Gray の音楽は「20世紀の和声法」を大変効果的に使っている ため、この分野の音楽を制作されたいプロの方は必聴です.

(2004年、 Thunderbirdsの実写版の映画 がリリースされるようですが、 この Barry Gray の音楽を、実写版映画においても忠実に利用しないと Thunderbirds本来の面白さが半減すると思います.安易に最近のCG やハリウッド映画の手法を使用せず、特に、音楽はBarry Gray の楽譜 に忠実に利用すべきです.1965年当時からリアルタイムで 見ていた世代の音楽家でBarry Grayの手法を確実に習得している音楽家 を起用すべきです.)

Mission Impossible (Lalo Shifrin)

スパイ大作戦のテーマです.あまりに有名なので説明など要りません. ラロ・シフリンは、ロシア系アルゼンチン移民で、パリ・コンセルバトワール でメシアンに師事しています.ハリウッド映画の劇伴には定評があります.
スパイ大作戦のテーマは、多くのジャズミュージシャンに取り上げられて いますが、このレコードはジャズとしてリリースされてはいないので、 ソロの部分でブルーススケールしか出てきません. こういう場所に、上の Dave Grusin のアルバムにある Montage の12音技法ソロなどを使うと、さらに緊迫感 が出るでしょう.

(参考:日本のテレビ番組などで、よくこの曲が今でも使われたりしているのは、 この曲は ASCAP の管理曲で、日本のJASRACの放送用ブランケット方式支払い 枠でカバーできているためだと思います. ブランケット方式は問題が多く、この曲が使われていても、ラロ・シフリン自身 に使用料が入っているか疑問です..)

Black Widow (Lalo Shifrin)

1976年、CTI シリーズのものです.このアルバムを取り上げたのは、 ラロ・シフリンによる、スタンダードの名曲やポップスの曲 を新しいモード手法へ編曲しなおす方法のサンプルとして 参考になるからです.
スタンダードジャズの名曲、Flamingo など、既存のコード 進行のあるものの調を分析し、新たなモードとして リハーモナイズしています.コード進行に存在する ハーモニックリズムから音楽が解き放たれ、 自由なリズムの展開をしています. この、Flamingo のような編曲方法は、いろいろなポップス にそのまま応用でき、古臭いイメージの曲を新しく蘇らせる ことができます.

One, Two, Three, Four (Bob James)

1970年代、CTIからリリースされた一連の作品です.CTI時代の Bob James は、クリードテーラーのサウンドコンセプトを実現するべく、 自分のできる多彩な技法でこれらをリリースしています. 近年の Smooth Jazzの Bob Jamesしか知らない人には、彼の別な側面を 教えてくれます.これら4つの作品はコンテンポラリージャズの技法を 学ぶ人には教科書的な作りとなっています.事実、私(サイト管理者) が、Vincent Persichett の「20世紀の和声法」を勉強していた当時 この4つの作品は、コンテンポラリージャズの作編曲の技法例として 使用していました.

BJ-1 - ムソルグスキーの曲などを素材として、ジャズの即興演奏 を編曲に活かしている最初の作品です.反対に、現在の Smooth Jazz を暗示するかのような、Roberta Flack の Feel Like Maki' Love で美しい Rhodes のソロもとっています.

BJ-2 - 前作と同じようなコンセプトです.The Golden Apple のような 緊迫感あるソロをフィーチャーしたものから、You're As Right As Rain のような Smooth Jazz サウンドのもの、Dream Journey のような 4度フレーズを多用したドリアンモードの無機的なサウンド (70年代80年代、ニュース/ドキュメンタリーなどのテーマなどにこの手 の音楽がよく使われました.1曲めの「マルディグラにつれてって」は、 70年代、日本テレビの「テレビジョッキー」のテーマソングでした) のものまであります.

BJ-3 - Bob Jamesが最近でもよく演奏している Westchester Lady などが含まれています.この曲は、ミニマルミュージックの手法に ジャズのアドリブソロをクラスターもしくはオブジェのように扱った もので、一見ダンス音楽のように聞こえますが、延々続く下降ベース ラインに、サウンドオブシェの密度を薄くしたり濃くしたりして 緊張感を作り出しています.私見ですが、この曲とこの編曲法は、 ライブ演奏には大編成を必要とするので、やはり CTI の多重録音 の方式のものが効果を出していると思います.

BJ-4 - BJ-1 から BJ-4 までの4つの作品は、後の作品になるほど 軽いサウンドになっています.やはり、 Bob Jamesは現代音楽は すべて身につけているが、自分としては、あまり好きな分野ではない という気持ちがよくわかります. BJ-4 はほとんどの曲がポップミュージックのフォーマットですが、 最初の Pure Imagination のみ、Bob James, Hubert Laws, Art Farmer のソロと編曲を活かした Smooth系の音になっています. この、Pure Imagination と BJ-2 にある You're As Right As Rain は、バートバカラックの Close To You のようなリディアンモードを 多用した、「バカラックフレーズ」の曲です. Bob Jamesは、一見、簡単そうなソロをとっているようですが、 よく聞いてみると、複雑な音程を駆使した「バカラックフレーズ」で ソロをとるのが上手い人です.

All-In All-Out (佐藤允彦)

1978年、SONY (Openskye)
佐藤允彦さんが、SONYの新しいレーベル(Openskye)での最初のものです.
ディブ・リーブマンとのコラボレーションです. 佐藤さんの「速弾きRhodes」が楽しめる作品です. 「佐藤さんらしい、変わった題名の曲」ばかりですが、 リディアンモードでアプローチしている "Grama Grass"、 は明るいきれいなメロディーラインの曲で、"Fall out"は、 原爆の「死の灰」という意味で、佐藤さん得意の、 12音音列によるアプローチで緊張感のあるソロが楽しめます.

MSB-1 (佐藤允彦&メディカル・シュガー・バンク)

1980年、SONY (Openskye)
佐藤允彦さんが「すっかり丸くおなりに」なっていない時代の、 音楽です.当時、MSBのメンバで、渡辺貞夫マイディアライフ によく出演されるようになりました.
最初の曲の Ridin' out の佐藤さんの Moog のソロと、 It won't hurt you.の Rhodes の12音の無調フレーズが、 大変緊迫感があって面白いです.Dave Grusin のアルバム の Montage の Grusin のMoog ソロと聞き比べてみてください.

残念ながら、MSBのアルバムはもう絶版のようで、 持っている人に聴かせてもらうしかないようです.
(原盤権所有者殿:再版をお願いします)

MSB-2 (佐藤允彦&メディカル・シュガー・バンク)

1981年、SONY (Openskye)
収録曲は、渡辺貞夫マイディアライフでも演奏されるていました. 小林克也さんが「佐藤さんの新しいLPは、ロボットの設計図 のような不思議なイラストですね..」と言っていました.
一曲めの、Oiwake は陽旋法にドミナントセブンスを付けたもの.. と佐藤さんご自身がライナーノーツを書かれています.
(原盤権所有者殿:再版をお願いします)

Paradox (加古隆 (TOK))

1979年、ECMよりリリース.
加古さんは、近年、NHKのドラマや、Image/Image2 など、ジャズ 以外の分野での活動が多く、最近、加古さんを知られた方には、 加古さんが1970年代から80年代の初めにかけて、 現代音楽とコンテンポラリージャズを盛んに演奏されていたことは ほとんど知られていないようです.このParadoxは、加古さんが パリ音楽院でオリビエ・メシアンに師事され、その後フリージャズ をTOKというグループで演奏していた時にリリースされたものです. 加古さんは、60年代にジャズメッセンジャーズなどを聴き、ジャズ ファンになられたようですか、60年代当時はモードジャズ全盛期で、 この作品は、メシアンのモードなど、加古さんがパリ音楽院時代に 習得された語法を活用されています. メシアンのモードは、12音技法がベースにはなっていますが、 シェーンベルクの方法とは違い、調性機構を残したまま、旋法を 合成して利用するもので、既存のコードのある音楽と共存可能 になる有効な方法です. メシアンの、第一旋法:ホールトーンスケールと同じ、 第二旋法:コンビネーション・ディミニッシュと同じ、 第三旋法:Cを軸音としたとき、C D Eb E F# G G# A# B C のスケール (Db F A が抜けている)で、 特に、第三旋法を使うと、メシアンのカラーがよく出ます. ブルースのように響きますが、短調と長調を合成し、なおかつ F# が あるので Lydian のようにも聞こえますが、ドリアンモードの特性音 である C から見たA の音を含んでいないため、無機的なドリアン色 はありません.不思議な響きのスケールです. このアルバムの加古さんのソロやテーマには、これらのモードの フレージングやコードが使われていると思われます.

(このアルバムは、ECMでCD化されていませんでしたが、2003年10月、 日本でCD再販になったようです.)

Vertical Form VI (George Russell)

1981年、イタリアの Soul Noteよりリリース.
スウェーデンのラジオ局の Swedish Radio Jazz Group のために制作され、1977年3月10日に収録されたもの. George Russell の Lydian Chromatic Concept を活かした、オーケストラによる「集団即興演奏」
指揮は、Carl Atkins (Ph.D) (当時、Eastman School of Music in Rochester NewYork, New England Conservatory of Music in Boston などで教えていた)

1990年代のもの、
The Snow Leopard (Richie Beirach)

1996年録音. 1980年代後半から、ジャズの音楽様式が時代的に古いものが 再び人気が出始めるなど、技巧的には一種後退のような時代 でしたが、その中でコンテンポラリージャズのスタイルを 堅持していたのがリッチー・バイラークです.彼の場合 1980年初頭 ECM 録音のものはあまりコンテンポラリージャズ のスタイルのものではないですが、年を追うごとに現代的 な音楽様式へと変っています. 2000年現在、このサイトの音楽様式という意味で 重要なミュージシャンです.

Art of the trio 4: back at the Vanguard (Brad Mehldau)

1999年録音. Brad Mehldau (カタカナで書くと、ブラッド・メルドー) は、彼のCDにバイオなど詳細が書かれています. それによると、「私(Brad)の音楽は、ビル・エバンスやレニー・トリスターノ に似ていると、世間の批評家は言う.しかし、私はエバンスや トリスターノの音楽は子供のころほんの少し聞いたかどうかで、 彼らのスタイルを追いかけているわけではない.自分のやり方で ハーモニーやメロディーを構築している..」とはっきり述べています. 詳しくは、CDに付属のBrad本人の記述をご覧ください.
私見ですが、Bradは確かに、エバンスのピアノのようなサスティン ペダルを目いっぱい使った倍音ハーモニー追求型ではなく、 (Brad はほとんどサスティンペダルを使っていません) 左手と右手の旋律が対位法的に展開しています. コードが細分化されて細かく動いていますが、完全5度をあまり 使わない、いわゆる旋律主導型のピアノスタイルのようです. ドビッシーのような印象派のスタイルではなく、バッハを始め とする古典派クラシックの好きな人にはお勧めです.


このページで紹介している曲とアーティストは、ジャズのジャンルの中でも とりわけ1960年代以降、コンテンポラリージャズ(現代音楽ジャズ)で 他のページで紹介している、Vincent Persichetti の「20世紀の和声法」 などを技巧として実際に実践しているものを紹介しています. スタンダードジャズと呼ばれるものは、バークリー音楽院の方式が有名ですが、 Vincent Persichetti はジュリアード音楽院で作曲などを教えていた人で、 このページで紹介しているチックコリアやマイルスディヴィス (マイルスはほんの少ししか行ってない)は、ジュリアード出身です. コンテンポラリージャズを非常に厳密に実践するには「バークリー方式」 ではほとんど太刀打ちできません. 佐藤允彦氏もバークリー出身なのですが、ご自身もおっしゃられているように、 バークリーでのことはほとんど役に立っておらず、帰国後に Persichetti の「20世紀の和声法」を習得し、こちらの方が後々 ずっと役に立っていたようです.70年代当時、日本では音楽大学の一部の 先鋭な方々と「佐藤さんが当時おられた、AN SCHOOL OF CONTEMPORARY MUSIC」 で「20世紀の和声法」は教えられ、後に優秀なミュージシャンを排出して います.21世紀の現在、日本の J-POPシーンにおいても有能なミュージャン やプロデューサとして活躍されている方々は、佐藤さんが(直接/間接にも) 育てた人がたいへん多いのです.


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