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HOME > Vocal Discs > 岩崎宏美 (Fantasy / 飛行船)

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岩崎宏美 (Fantasy / 飛行船)

アルバムイメージをクリックするとAmazon Japanへ行きます.
Fantasy


飛行船


1976年、Victor よりリリース.(2007年2月よりCDとして再発売)

なぜ岩崎宏美さんのCDがここに掲載されているか、はじめてこのページをご覧になる 方は不明と思います. このページは、Sowelu の前作 ((24-twenty four- / Dear Friend)) のページ に掲載されている内容と関係があります. (ネット検索などで)初めてこのページを読み始めた方は必ず、Sowelu Geofuのページと (24-twenty four- / Dear Friend)のページ から先にご覧下さい.

岩崎宏美さんのこの2つのアルバムは、彼女のデビュー当時の1975年から1976年 ごろにかけて、最も洋楽色が強く 筒美京平さんのカラーが出ている作品で、Sowelu さんがデビュー当時の宏美さんに 歌手としてとてもよく似ていることがよくわかる作品です.

この2枚のアルバム(だけ)をここに紹介している理由は、 岩崎宏美さんの大半の曲は、いわゆる歌謡曲のメロディーラインの曲なのですが、 アルバム(Fantagy)に含まれている、"Campus Girl" 、アルバム(飛行船)に含まれている "地平線の彼方"、"美しい夏" は、いわゆる70年代当時のクロスオーバ/ソウルミュージック などの音作りに沿っている曲で、現在の Smooth Jazz にも関係している曲であるためです.
上の、 筒美京平さんのインタビュー記事と併せて、この2つの作品を聴いてみると、 京平さんの言われている内容について、宏美さんのアルバムの中で実際行われていることがわかります.
筒美京平さんは筆者と同じく、60年代にバートバカラックなどA&Mの音楽に惹かれ、 ハル・デビッド(作詞)+バート・バカラック(作曲)のコンビを、 阿久悠+筒美京平コンビで日本で目指していて、 ディオンヌワーウィックがバカラックの曲の良き表現者役であったように、 筒美京平+宏美さんで同じことを実現していました.

この"Campus Girl"は、典型的な「バカラックフレージング」で、 "Close To You" のように、長音階の IV のMajor7 コードでメロディーが始まっている ため、長音階ではなくリディアンモードの曲として耳に響き、 スローバラードの曲のため長い音符が多く、 ドビッシーの印象派以降の音使いとしての4声和音の響きがとても効果的でセクシーなのです.
2コーラスめの区切りのドミナントコードも、Fルートから長3度上のAのキーを 一時的にドミナントとして使っていて、他の歌謡曲フォーマットの曲と違い 凝った曲になっています.(メロディーはBbリディアの曲で、調性的にはF長調で Fの長3度上のキーAをFのドミナントとして区切りに使用している.バルトークの手法)

一般に、昔のヒット曲を何年が経てから聴き直した場合、「ああ、当時の音で古くさい」 と感じる曲は、音楽そのものの技法としての新しい手法を使っていたわけではなく、 当時流行のサウンドエフェクトやリズムパターンなどで、メロディーラインなどは 何の変哲もない曲の場合が多いですが、この"Campus Girl"は、全く岩崎宏美を知らない 現在の人に聴かせても、昔の曲とは判別がつかないと思います.

アルバム(飛行船)にある、"地平線の彼方"は、短調と言うよりドリアンモードに近い メロディーラインのため、ジャズの雰囲気が出ているのです.
(デビューアルバムの「あおぞら」は、全曲 歌謡曲フォーマットのため、ここには入れませんでした)

(中東系のモードの旋律のようにも響くので、写真家の篠山紀信さんに、 「宏美さんの曲を聴くと、何か、中近東の雰囲気がするのよ. 宏美さんの顔を見るとぜんぜんそうじゃないのに..」 と言われたことがあります.70年代当時)

筒美京平さんのインタビュー記事で、「アーティストと一緒に音が跳ねる」と言われています が、Peter White の インタビュー記事 で、Peter が「バカラックの曲は、音の跳躍が面白い」 と行っていることと同じなのです.音楽的には、バカラックフレーズは7度や9度の 音程ジャンプのある曲があります.ドビッシーの「亜麻色の髪の乙女」は、Minor 7th コードの分散フレーズから始まります. ところが、誰でも覚えられて歌いやすいヒット曲を作るとなると、この方法では 歌うのが難しいため、4声和音の転回形でも合う、 「四七抜き節」(よなぬきぶし)の5音音階で7度などの歌いにくい音程を使わずに 作曲されているのです. 筒美京平さんは、このバランスをうまくとって作曲されているのです.

残念ながら、この飛行船のアルバム以降、1995年に出た Full Circle までの曲 は、歌謡曲フォーマットの曲のみです.
(70年代後半、日テレのスター誕生の担当が、筒美京平さんなど洋楽系の人から 都倉俊一氏に移り、音楽の中身よりテレビ映りのよい歌手が選ばれるようになった. 時代背景としては、80年代のバブルの前段階として60年代70年代の 音楽コンテンツの質で収益を上げるモデルから、音楽コンテンツはテレビなど家電の 売り上げに貢献するような大衆化モデルに移行されたため. アメリカでも、カーペンターズ、フィフス・ディメンションなどが消えていった.)

宏美さんは音楽活動歴がとても長くなりましたが、ファン層としては、
1.初期の洋楽系ファン(もともと宏美さんはマイケルジャクソンなど洋楽ファン)
2.筒美京平氏から離れた80年代以降の歌謡曲フォーマットのファン
3.ミュージカルなど演劇系ファン

がいますが、1995年に Full Circle を出した時、以前の 1. のファンが ほとんどいなくなっていたので、あまりCDなどが売れなかったのです. そのため、宏美さんは、2. 3. のカテゴリの方へ方向転換されましたが、 今回のように、デビュー当時のアルバム再発など、1. のファンの掘り起こし がされているようです. 一方 Sowelu さんのように、宏美さんの 1. のファン層とオーバーラップ するような人も出て来ています.

実は、筆者はまだ Peter White や、ハープの Lori Andrews には、宏美さんのことは 全く知らせてありません.
宏美さんが 1.の音楽カテゴリでも活動されるのなら、また宏美さんにコンタクト とってみましょうか...

(宏美さんの初期のアルバムの人気状況により、このページ内容に追記いたします)

参考:
岩崎宏美さんファンで筒美京平さんの曲が特に好きな方に是非聴いてほしい他の アーティスト

Geofu (Sowelu)

Sweetest Illusion (Basia)

Playin' Favorites (Peter White)

Caravan of Dreams (Peter White)

Perfect Moment (Peter White)

Reflections (Peter White)


写真は1976年8月、銀座三越屋上ステージにて.

アルバム「飛行船」発売記念フリーライブ.この日、筆者は初めて宏美さんと お会いして、「飛行船」のジャケットにサインをいただきました.
どこにでもいるような、気さくな女の子でした.丸く太っていて、握手した時 「太い腕」だったのを覚えています. 当時は、ライブでも写真撮影は禁止ではありませんでした.アーティストと一緒 の写真も自由に撮らせてもらえる良い時期でした. 当時撮った写真が現在紛失してこれしか残っていません.

<追記> (2007/04/14)

David Foster との共演作、 "I Won't Break Your Heart" が 2007/05/23 再販になります.オリジナルは 1984年で、筆者は1984年当時は 一時的に宏美さんの音楽はほとんど聴かなくなっていましたので、当時の発売について は全く知らず、90年代になってこのアルバムの存在を知りました. LP版オリジナルは持っていますが、1984年当時と言えば、日本はバブル期に入りつつ あり、このアルバム収録曲は音楽的にも70年代デビュー後最初の3アルバムに比べて それほどでもないと思います. 有名人を起用しお金がかかっている割に、日本の宏美さんファンにほとんど話題 にもされなかった作品ですが、貴重な共演作としてファンの方は入手されては どうでしょう.

このアルバムを欲しがっている海外のファンがたくさんいるようですが、 彼らの大半は宏美さんが目当てではなく、David Foster や Bill Champlin の方 のファンです. そういう理由で、このアルバムだけは全く再販されていませんでした.

2007年現在、日本のミュージシャンのレベルが昔とは比べ物にならないほど 進歩していて、Sowelu さんの "Geofu" のような下手な洋楽よりレベルの高い 作品を聴いているような今の J-popファンには物足りないかもしれません.

(宏美さんの一連の旧作アルバムがビクターから急に発売されはじめたことを 不思議に思われる方もあると思います.ビクターは親会社の日本ビクターが 経営不振で、松下電器が外資へ売却しようとしている最中に、この宏美さんの 大量再販は(ビクターは お金が無いはずなのに)不思議ですが、 おそらく、ビクターも外資になって再生したコロンビアと同じく、 本当に価値のあるアーティストだけビクターに残して、後はリストラの対象に なっているようです.
(2007/06/23:親会社のビクターはケンウッドと経営統合されるようです)
ユニバーサル、SONY/BMG, EMI, コロンビア・エンターティメント に次いで、ビクターは5番目の外資レコードレーベルになると思います.
残るは、日本の SonyMusic と SONY/BMG がはたして経営統合するかどうかです. 日本の Sony Music は、親会社は電気メーカのソニーで、今この親会社自体 が CBSが株主になっていますので、将来的に日本の SonyMusic も SONY/BMG に 吸収されるべきと思います.Soweluさんを欧米でも売るのなら SONY/BMG から 出すべきでしょう.)

<追記> (2007/10/06)

ここで紹介している宏美さんの2つのアルバム(Fantasy,飛行船)が、紙ジャケ再販企画 の中で売り上げ最上位2つだったようです.

この2つのCDを購入した人は、「もともとの宏美さんのファンで 80年代後半以降にファンになり、初期のアルバム(絶版になっていたため) を持っていない、あるいはLPレコードであったためもう一度CDで買い直した」 という人と、 「比較的若い世代で彼女を全く知らなかった別の音楽ファンが実際に全く新しいファンになった」 という人、とが考えられます.
(TOWER,HMV,Amazon 、あるいは、いくつかの宣伝媒体で、特に初期の3つのアルバム が紹介されていたようです)

もし後者の場合ですと、彼女の初期の頃のような音楽のCDも出せるかもしれませんが、 最近の宏美さんは、このジャンルを全くやらなくなっています.
90年代に Full Circle を出した時、あまり売れなかった(売り方が良くなかっただけなのですが)ことなど、 宏美さん自身が、もともと彼女が(聴くのが)好きたった音楽が、最近の彼女のファン 層とは合わないことがわかってきたためのようです.

これは、「マイケルジャクソンのファンだった」という「彼女にとっての意味」 が、「ミュージカルなどもやっているマイケルとしてのファンであり、マイケルのやっていた 音楽の中身そのものに対するファンではなかった」ためと思います.
(彼女は子供の頃、成城学園に通っていて、学校でミュージカルをやって興味を持つ ようになったため、音楽より役者の方に興味の対象があると思います.
70年代ごろは、ラジオ番組などで、ナンシーウィルソンやディオンヌワーウィック、 ダイアナロスなどの話をよくしていましたが、最近は全くありません. 宏美さんに「無人島に持っていきたいCD10枚」は何か、iPodに何が入っている か聞いてみると、最近の興味対象がわかる)

宏美さんの初期の3つのアルバムは、プロデューサの方向性と当時のファンとが上手く マッチしたためで、もし今後、当時のようなスタイルの音楽をやるのなら、 相応なプロデューサを起用する必要があるでしょう.


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