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2003年6月、DefSTAR Records よりリリース.
J-POP の作品をこのページに紹介するのはかなり躊躇しましたが、この作品に収録
されているいくつかの曲は、このページのトップに書かれている、Smooth Jazz
のボーカル曲としてのいくつかの音楽的なポイントをクリアしている、
いわゆる「本物」として、十分通用する作品であることが分かりましたので
ここに紹介しました.
もうご存じの方も多いと思いますが、Sowelu は、2001年にデビューした、
アイルランド出身の祖父を持つ日本人の歌手で、ノンビブラートのとても
美しい歌声で、2001年に、サッカーのKorea Japan のために作られた
Voices of KOREA/JAPAN
に、彼女の歌 (beautiful dreamer) が収録され、一躍有名になりました.
デビュー当時のこの (beautiful dreamer) は、比較的どこにでもあるJ-POPのパターン
の曲なのですが、その後、彼女はアメリカでボイストレーニングを受けるなどをして、
今回のアルバム Geofu で聞かせている歌は、見違えるほど進歩しています.
2.Fortune, 4.Across my heart, 5.I Wanna Know, 7.Part of me, 10.Call my name
など、Smooth Jazz のVocal物としても遜色ない曲がたくさん収録されています.
これらの曲は、リズムトラックの作りがSmooth Jazz でよく使われるリズムパターンで、
彼女の歌の代わりに同じリズムトラックを使ってキーボードやギターなどの
アドリブソロに差し替えると、Smooth Jazz そのものになることが、
筆者がこれらの曲を実際にコピーしてわかりました.
メロディーとハーモニーも、筆者がこのサイトの随所で述べているように、
4声のコードトーンが、きちんと意味があるようにメロディーが構成されています.
(いわゆる「バカラックフレージング」が、ちゃんと出来ている)
さらに、今までの日本のJ-POPでの、R&B 、ゴスペル物では、どちらかというと
ハスキーボイスでペンタトニック中心のブルージーな雰囲気の曲になる場合が多かった
のですが、Sowelu は、とても爽やかなストレートな歌声で、曲もリディアンモード系
の明るい曲が多く、長時間聴いていても全く疲れない曲が多いです.
日本の音楽レベルもずいぶん高い所へ来たと実感できます.ただ、欲を言えば、
Sowelu 自身の作詞作曲の曲が今後増えてくれることを期待しています.
自作の曲ができれば、音楽のプロとしての寿命がずいぶん変わってきます.
彼女のBio を見ますと、何と (上にある) Luther Vandross のファンのようです.
ジャズハープの
Lori Andrews
が、Luther のアルバムに参加していますが、
Lori も Luther Vandross の大ファンなのだそうです.
今度のアルバム制作には Lori のハープもフィーチャーしてみませんか?
[Sowelu のサイト]
Sowelu LIVE TOUR 2005 "Be happy" 名古屋クラブクアトロ (2005/02/23)
ライブレポート
Sowelu at 名古屋 3/7,2004 いっしょに歌お! CBCラジオ FREE LIVE ライブレポート
(2004/11/06 追加)
MAXI CD, "I Will" に、山口百恵さんの曲(パールカラーにゆれて)をSoweluが
歌ったものが収録されています.
編曲が、Smooth Jazz のように編曲されていて百恵さんオリジナルのものと
ずいぶん変わって面白いのですが、そもそもこのテイクを「ジャズっぽく編曲した」
と解釈したのなら、Jazz では昔から「枯葉」や「いつか王子様が」
のようにポップスの曲を素材にしてきました.そういう意味で、このSowelu
の百恵さんカバーは、「素材は何でも良かった」とも言えます.
Soweluは、もともとSmooth Jazz向きの歌手なので、ぜひオリジナル曲の
Smooth Jazz Vocal 物をぜひやってほしいと思います.
百恵さんの曲カバーということでしたが、歌謡曲という点からは、もともとの百恵さん
のファンが、このような編曲物を好むようにも思えませんので、
結局として、曲使用の印税利益を楽曲著作権保有者にもたらした、ということにしか
なっていません.
(2005/01/08 追加)
2005/01/07 発売の 2nd Album "Sweet Bridge" は、1st の "Geofu" に比べて、
R&B系の曲がたくさんフィーチャされたアルバムとなっています.
"Geofu" はデビューアルバムということで、Sowelu の歌の守備範囲の全体がわかるような
質の高いアルバムでしたが、この2nd アルバムは、ダンス系をかなり意識して作られたと
思われます.Boney James の
"Pure"
を聴いてもわかるように、2004年はアメリカでもR&B歌物を Smooth Jazz でも
たくさんフィーチャしアルバムの売り上げも上がりましたが、Sowelu の2ndアルバム
もこの路線を意識しているようです.
"Geofu" は、鬼束ちひろの"インソムニア"と同じく、相当広い年齢層にファンが広がった
と思いますが、Sowelu と同年代のファンを引きつけておくには、この2ndアルバム
のような構成も必要と思われます.
このアルバムは、"Geofu"リリース以降に出してきたシングル曲が大半を占めていますが、
このアルバムのみに収録された曲、
1.Do You Remember That?
(イントロに「シンセ音源のハープ」が入っています.)
5.He is not for me
6.Shower
8.cloudy
(R&B系の音を全面に出した新しい録音のもの.)
9.Joy
(ブルースギターのイントロによる、カントリー系の曲.Norah Jones や Mindi Abairなども
このタイプの曲をたくさんフィーチャしているが、アメリカでジャズを普段あまり聴かない
白人層が、このタイプの曲を好むことが多いので、Smooth Jazz としてリリース
していても、他の音楽ファンにも注目され、売り上げ増につながる)
10.secret candle light
(「打ち込み」のリズムトラックに、アコースティックギターをフィーチャした曲.
Peter White あたりの音作りを参考にしたと思われる.)
13.You are my everything
このアルバムは Smooth Jazz として作られているわけではありませんが、
8.cloudy と 10.secret candle light は、アメリカの Smooth Jazz FM などで
「パワープレイされても耐えられる」曲と思われます.
このCDの難点をあえて上げるとすれば、録音されている音が少しカリカリした
硬い音で(Geofuに比べて)シンセ音源もおそらく日本製のシンセ音源と思われ
ることです.
1.のハープの音や、10.のアコースティックギターの音など、
Lori Andrews や Peter White の楽器の「生の音」を良く聴いて知っている筆者には、
すぐに録音上の問題がわかります.
これらJ-POP系の音作りは、比較的安価なラジカセなどの再生装置でも良く聞こえる
ように配慮されている(良い方に解釈すれば)のですが、
アメリカ録音の Smooth Jazz CDは、良い再生装置で聴くほど音源の質と録音状態
の良さがわかります.J-POP系の音は、JBLなどのモニタースピーカ
で聴くと「あらがわかる」ので注意が必要です.
(2005/08/06 追加)
2005/07/20 発売の Album "Heads or Tail" は、R&Bダンス系音楽に編曲されている
ので、ここで取り上げるべき曲はあまりありませんが、アナログLPとしてもリリース
されているため録音状態が極めて良く、前作の "Sweet Bridge" について、上に記載
したような問題が若干解決され、繰り返し聞いても耳が疲れたりしない
ナチュラルな音に仕上がっています.
Smooth Jazz Vocal 系の編曲の曲は、
2.Get Ready-Nite 2 Remember
4.Do You Remember That
6.He is not for me
など、
9.cloudy feat.Masaya Wada は、逆に、"Sweet Bridge"収録オリジナルの方が
Smooth Jazz Vocal 編曲です.
この Sowelu のアルバムは、人により好みが分かれると思われます.
Smooth Jazz でも、ダンス系が好みの人には良いかもしれません.
(2006/02/04 追加)
2006/02/01発売の"to YOU" は、ストリングスなども使って、意欲的な作品で
よくできているとは思いますが「もっと良くする」ため、気が付いた点をあげておきます.
この作品だけではなく、日本の70年代ごろからの「弦付きの歌謡曲」などにも
見られますが、この to YOU のオーケストラの弦の使い方は、昔の歌謡曲のものと
あまり変わっていません.
今後、アニメ音楽の海外進出も考慮するのなら、改善すべきポイントがいくつかあります.
この曲は、カラオケの方を先に録音していると思われます.
弦楽器は奏者によって、演奏時に微妙に音程をアジャストできるため、
他の平均律固定の楽器に合わせると、高音パートが硬い(キーキー音)に
なりがちなのです.それで、70年代のCTIやA&Mの(Claus Ogermannなど)
弦の録音は、歌のトラックの録音の後、一番最後にオーバーダブしています.
そのため、弦の奏者は全体の音を聴きながら微妙な音程調整をしながら録音でき、
美しいハーモニーになります.
今後、このような曲の場合、カラオケを作っておいて最後に歌入れをする
手順を見直すべきと思います.
弦の使い方ですが、たくさん音数があって、素人耳には厚いサウンドのように
聞こえますが、カウンターパートなど、内声パートにメロがほとんど無く
「内声が歌ってない」です.
弦の音をマイルドにするには、木管系(フルート、クラリネットなど)
の音を弦に重ねるとマイルドになりますが、この曲では使っていない.
Sowelu の最初のアルバム Geofu が音が良いのは、マスタリングをアメリカの
スタジオで行っていてアメリカの録音方式で作られているためです.
この to YOU は、Geofu に入っている "Part of me" や "my dear" のような
録音/マスタリング方式で、Sowelu のボーカルをもう少しバックの弦に合うように
ライブな音の録音の方が良いと思います.おそらく、ふだんダンス系音楽ばかり
録音しているスタッフが録音したためではないでしょうか?
今後、海外市場アニメ音楽を担当される方は、
Shelby Flint (Collector's Choice 2 CD set) あたりの録音を
良く聴かれるべきでしょう.
参考:DefSTAR Recordsは、
SonyMusic グループの(おそらく社内ベンチャー)音楽制作会社のようで、CHEMISTRY や
平井堅さんなどもおられます.新しい分野の開拓のためにできた会社のようです.
筆者共々、今後の発展を期待しています.ちなみに、Geofu には、「JASRAC マーク」が
ありません.著作権を自己管理しているようです.
(一般に日本のポップスでJASRACマークのあるCDの
大半は、制作者以外のところで試聴などに供与させるのは多くの制約あり.)
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